ピル(経口避妊薬)の副作用
私の所に来られる方で、「ピルを服用したいのですが、副作用が怖いのですが、
それについて教えてください。」とお聞きになる方が、かなりいらっしゃいます。
そこで、今回は、ピル(経口避妊薬)の副作用についてお話したいと思います。
ところで、ピルは、女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンの二種類のホルモンを含んでいます。
この二種類のホルモンが、頭の中にある間脳と脳下垂体に働いて、
ここから分泌されるところの排卵に関係するホルモンを抑えてしまうために排卵が起こらない、
というからくりになっていると考えられています。
ホルモン含有量による影響
1960年に世界で初めてピルが発売されて、30年余が過ぎております。
その後避妊効果を落とすことなく、いかに副作用を軽くするかが考えられ、改良が加えられてきました。
開発初期のピルは、ホルモンの含有量が多く血栓症、高血圧、肝臓機能障害などの重篤な副作用が相次いだため、
ホルモン量を少なくすることで、副作用が少なく、より安全なものになってきています。
ピルの中に含まれている卵胞ホルモンが、1錠中50μg以下のものが低用量ピルといわれています。
また、一緒に含有されている黄体ホルモンも少なくされるようになりました。
しかしながら、ピルに含まれるホルモン量を少なくしすぎると、避妊の効果が弱くなってしまったり、
不正出血が起こりやすくなることが新たな問題点となっており、服用の仕方などの改良
(2相型、3相型ピル)がなされるようになりました。
ピルの副作用では、卵胞ホルモン作用によるものと、黄体ホルモン作用によるものと分けてお話しする必要があります。
卵胞ホルモン作用としては、頻度の高いものでは、悪心、嘔吐、頭痛や偏頭痛、
頻度の低いものでは下腹痛、下痢、肝機能異常、血栓性静脈炎や高血圧などがあります。
また、黄体ホルモン作用によるものでは、倦怠感、乳房痛や乳房緊満は比較的頻度が高く、
倦怠感、性欲低下、抑鬱や体液貯留は多少あります。
さらに、黄体ホルモンの種類によっては男性ホルモン様作用を示すものがあり、
にきびの発生や食欲亢進と体重増加となる場合もあります。
ピルの副作用として肝機能障害も勿論重要なことです。
しかし、発生頻度は低いものの、いったん発生すると生命にかかわる副作用としては、
静脈血栓症、心筋梗塞と脳卒中があります。
卵胞ホルモンは、出血の時に止血させる作用があり(凝固・線溶系亢進)、静脈内に血栓が形成され、
それが肺動脈につまると大変なことになります。
また、黄体ホルモンは、コレステロールの代謝を異常にさせ、動脈硬化と高血圧症を起こし、
その結果心筋梗塞や脳卒中が起こりやすくなります。
以上のことを考え合わせて、ピルの使用上の注意事項について申し上げます。
- 静脈血栓の既往のある方や静
脈瘤を持っている方
- 高脂血症のある方
- 虚血性心疾患のある方
- 肝機能の悪い方
- 甲状腺機能亢進症や糖尿病
などの内分泌系の病気の方
- 精神的に抑圧状態にある方
- 高血圧の方
- 性器や乳房に悪性の病気をもっている方
はピルを服用してはいけません。
また、17歳以下の若年婦人は卵巣機能がまだ不安定であり、ピルの服用は避けた方が良いと考えられています。
ところで、ピルと一緒に服用するとピルの作用が弱まるような薬があります。
それらは、抗生物質(アンビシリンやテトラサイクリンなど)や、催眠鎮痛剤(フェノバルビタールなど)が報告されています。
しかし、常にピルの作用が弱まるわけではありません。
服用には内科的チェック必要
それでは、ピルを服用したい方は、服用前にどのような検査が必要なのでしょうか。
まず、子宮内膜癌や乳癌は女性ホルモンに関連しているものですから、
子宮頚癌の検査と一緒にしておいたほうがよいです。
さらに大事なことは、内科的なチェックも必要です。
体重測定による肥満チェック、喫煙習慣の有無、血圧測定、貧血の検査、血液凝固の検査、肝機能の検査をすることです。
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