〜捻挫について〜



1.関節捻挫

 捻挫とは外力が加わった為に、もともとの可動域を越えて関節が動いた為に関節の支持組織である靭帯、関節包などに損傷が生じた状態と考えられます。
 強制的外力が大きい場合には、一時的に亜脱臼となる場合もあります。勿論、外傷後のX線写真にては正常の骨配置となっています。
 症状としては、局所の疼痛、圧痛、腫脹、運動時痛があり、診断は外傷の病歴、臨床所見によりますが、他の外傷との区別の為、検査を要します。又、外傷と同方向の外力を加えることにより靭帯が完全に切断されている場合には、亜脱臼位を証明することが可能です。
初期治療としては<RICE>が重要です。

2.<RICE>とは

Rest
Immediate Immobilization
Compression
Elevation
の頭文字を配列した言葉ですが、Rest(安静)を保ち、Immediate(即に)Immobilization(動かさない)することにより筋緊張緩和し、炎症や浮腫血腫の形成をおさえ、疼痛を和らげます。
 勿論、Icingをする事もすすめられます。BandageなどによるCompression(圧迫)は浮腫や血腫の形成を抑制しますし、Elevation(挙上)する事により、患部からの静脈血のbackflowが促進され、腫脹を低下させます。
 応急処置については以上の通りですが、病院を受診すると、この処置以外に、一時的には靭帯の損傷程度にもよりますが、1〜3週間程度の弾力包帯固定あるいはギプス包帯固定、同時に冷湿布、消炎鎮痛剤などの薬が処方されることもあります。
 安静後は温熱療法や運動訓練が始まるでしょう。
 初期治療が大切であることは言うまでもありませんが、あなたが考える単純な捻挫の中には、関節が亜脱臼するほどの完全な靭帯損傷もあれば、時には骨折や脱臼があり、大切な初期治療を逃すと、治療に時間を要したり、後遺症を残したりする場合もあります。

 ここでは、手、肘、膝足関節のおのおのにおいて、捻挫と、その他の外傷について述べたいと思います。

 手関節とは橈骨と8つの手根骨が形成する複合関節です。手関節を構成するこれらの骨は、それぞれの靭帯により結合されています。

3.手関節捻挫

 手関節の過伸展を強制し、または回旋力を加えた場合、手根骨間の靭帯の損傷が生じます。
 代表的な靭帯としては、

  • scapholunate ligament
    (舟状骨−月状骨靭帯)
  • triquetrolunate ligament
    (三角骨−月状骨靭帯)
  • triquetrohamate ligament
    (三角骨−有鈎骨靭帯)
などがあり、同部位の腫脹、圧痛、運動時痛、可動域制限があり、放置すると手根不安定症となり、疼痛、運動制限、運動時痛などが持続する事があります。

4.手根骨脱臼

 種々の外力の程度、方向により手根骨は脱臼することがありますが、頻度としては、月状骨が最も多く、月状骨周囲脱臼として知られています。疼痛、運動制限、圧痛、腫脹など、症状も比較的軽度で、捻挫と思われがちです。月状骨と橈骨間の靭帯が強力である為に、外傷時に他の靭帯が断裂しても、この靭帯が残る為に生じると考えられます。

5.手根骨骨折

 舟状骨は、細長いその特異な形態の為に転倒した際に肘関節を伸ばし、手関節を背屈して、手をついた時に骨折が生じる事があります。
 症状としては、疼痛、運動制限、腫脹、圧痛など捻挫とほぼ同じで、受傷直後の初診時のX線撮影では、骨折線の明確でない事があります。疼痛が続く様であれば、再度、X線撮影が必要となります。
 その特異な形態と血行分布の為、骨癒合に時間を要し、長期間のギプス包帯固定を要します。

6.橈骨遠位端骨折

 転倒した時に、手関節伸展位(背屈位)にて手をついた場合、手関節より数pの所で骨折を生じる。
 腫脹、圧痛、運動制限などあり、骨折部に転位のある時には、手背部にフォーク状変形がみられます。転位の強い時には、整復処置が必要となります。

7.TFCC(Triangular Fibrocarlilage Complex)損傷

 TFCCとは、橈骨、尺骨、手根骨の間に囲まれた三角形の部分にあり、橈尺骨のスタビライザーとして、又回内外時の尺骨遠位端のクッションとして働く、関節円板といわれる構造体です。
 捻挫と同様に背屈位と、回転運動が強制された時に損傷されます。又、有痛性のクリック(音)が感知されることがあります。
 診断する為には、X線写真やCT、MRI、又、関節造影を要する事があります。


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